自分は中学時代に一度だけ、引越しをした事がある。
その、以前の家の中に戻っていた。
母と一緒にいたのだが、床が異様に変形していた。
朝なのか夕暮れなのか。全く分からない状態の赤い空。
そんな光が、微かに開いた窓から漏れている。
窓を閉めると、ひどく蒸し暑かった。


すると。廊下に、突然包丁を持った白い服の男が歩いてきた。
雰囲気からして、明らかに狂っている。
妙に冷静になりながら、自分はそいつを説得して外へ一緒に出た。


そいつを先頭に、母と二人で歩いていく。
そのうち、周りはショッピングモールのような道になっていた。
さらに、母はいつのまにか旧友Rになっており、左側に向かう。
『あんたはそっちでしょ』
友人は、右側の道を指した。自分は、そうなのかとそちらへ向かう。


地下へ降りていく。ひどく陰湿な雰囲気に満ちていた。
細い鍵穴のついた扉の前に立つと、頭に声が響いてきた。
『汝何のために戦うのか』
なぜだろう。扉に現れた選択肢を選ぶ。
“白い神の名において…浄化するために”。
『白い神と共に戦う事を望むか。行くがいい』
細い棒のような鍵を差し込むと、扉は開いた。


遠い昔の時代にあるような、家の中。暗い部屋の中には汚い畳が敷いてあり、その中から時折無機質な顔が3つ、回転しながら現れる。
『…行かない方がいいよ』
そう言っている。色々と考えを巡らし、答えを見つけた時。
『…そうだ、よ』と言って一斉に顔は消えた。部屋の奥へ進む。
広い部屋の先全てを塞ぐように、簾(すだれ)が降りていた。
それも、幾重にも重なって、壁のように。
それを掻き分けて行くと。3人の長い黒髪の女が現れ、簾にすがりつくようにし、無言のまま両手で簾をかりかりと引っかき始めた。その間を縫って行くが、最後の簾にもすがりついている。皆、背を向けたまま。人間ではないのは分かっていた。いつ振り向くかと思うと恐ろしかった。
その時。自分は、ある人物の事を想った。そいつは生涯の親友(でありたいと自分は願っている)だが、一度はっきりと拒絶されたのだ(この辺は現実)。だが、結局和解した。あいつはどういう気持ちで自分を受け入れたのだろう、と考える。
同時に、なぜ自分は再びあいつを受け入れたのだろう…。この霊たちの気持ちが、分かる。そう感じた。
最後の簾をめくると。白く強い光が射した。
霊的に陰湿な場から、その時はっきりと抜け出た。


光の中で、微かに黒く長い髪の女がいるのが見えた。
こいつの気持ちが、分かる。
もう『来』
来てほしく『ない』
ないのだ『で』


『来 な い で』


はっきり耳元で女性の声がした。
そのまま吸い込まれるように進み、そして女が振り向き、強く白い光に世界が覆われて、目が覚めた。
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…あまりに長いので、分析はまた明日以降にしようと思う。
早朝5時半の夢だった。